合板材料
日本では、1920年頃から、ラワン材が東南アジアから輸入され、原木として利用されてきました。しかし、現在では熱帯雨林保護のため、原木樹種の転換が行われています。
そこで重要になるのが国内産樹木の利用です。木材には、広葉樹と針葉樹がありますが、合板材料としては、主として広葉樹、それも成長の速い輸入木材が使われてきました。太い丸太であれば、これまでの丸太の中心部にスピンドルを設置し、丸太を回転させて単板を得ることができます。しかし、この方式では、国内の針葉樹をうまく単板にすることができません。また、針葉樹には、年輪部分に密度の差があり、それが強度に影響するなど、従来の単板用広葉樹とは違った難しさがありました。
外周駆動方式の原理 合板用木材の輸入推移
特に、比較的細い国内の針葉樹を利用するには、新しい方式のベニヤレースが必要です。スピンドルを設置するのではなく。雁木ロールというものをつけ、外周駆動方式とすることで、この問題をクリヤすることができました。この機械は、周南製作所の長谷川克次氏が開発したものです。博物館には、小型の外周駆動方式の機械があり、実際に単板を作成する様子を見ることができます。
国産木材の使用は、こういった装置の実用化によって大幅に増えていますが、合板全体の生産量のなかでは、まだまだ少ないのが現状です。これを増やすことが、日本の森林資源の保護・育成にもつながり、地球環境の保護にもつながることが期待されています。
合板と接着剤
合板が広く使用されるようになったのは接着剤の進展がありました。初期の頃の合板には、天然素材である、大豆グル―、膠などの天然接着剤が使われていましたが、合成接着剤である尿素樹脂(ユリア樹脂)系接着剤の開発により、接着強度が大幅に向上、合板の用途は急速に広がりました。現在も、合板では、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂系接着剤が使われていますが、これらの接着剤にはホルムアルデヒドが用いられており、シックハウス症候群の原因物質として問題とされました。
現在、合板から放出される化学物質に関しては、JAS、JISで規格が定められています。また、ホルムアルデヒド以外の化学物質、VOC(揮発性有機化合物)に関しては、業界団体が自主規制を実施しています。
合板用接着剤
一方で、シックハウス症候群の対象にならない夢の接着剤への期待も大きいものがあります。尿素系接着剤に代わる新しい接着剤の開発、実用化も進んでおり、あとえば、レゾルシノール系接着剤、フェノール樹脂系接着剤は、その優れた耐水性から、構造用途への合板への適用を広げてきました。しかし、これらの材料もまた、石化資源によるものです。
初期の頃は、天然素材の接着剤が使われてきましたが、天然素材で、石化資源由来の接着剤ができないかというのが、現在の大きなテーマとなっています。
そこで大きなヒントとなるのが、木材そのものを構成する材料であるリグニンです。細胞同士を接着する働きをする物質ですが、これまではあまり利用されてこなかった材料です。リグニンをベースとした新しい接着剤の開発が期待されています。リグニンを合板用接着剤として利用できれば、合板はすべてが天然素材でできることになり、環境への負荷はさらに少なくなるはずです。
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